メンタル不調で休職したときの傷病手当金|もらう条件や期間を解説

メンタル不調で休職したときの傷病手当金 社会保険

ここ5年間で、メンタル不調によって傷病手当金を受け取る人は増えているようですね。

メンタル不調で会社を休んでいるとき、つらいのは体調だけではないと思います。仕事のことが頭から離れない一方で、このまま休んで生活は大丈夫なのか、お金はどうなるのかと不安になる人も多いはずです。

しかも、そういうときほど、会社に連絡することや制度を調べること自体がしんどいものです。傷病手当金という言葉は聞いたことがあっても、自分が対象なのか、どんな条件があるのか、すぐにはわからない人も多いと思います。

そこで今回は、メンタル不調で休職したときでも傷病手当金はもらえるのか、条件や期間、申請の流れをわかりやすく解説します。

この記事は、会社員などが入る健康保険の傷病手当金を前提に書いています。傷病手当金は、協会けんぽでは被保険者本人が対象です。

傷病手当金と労災の違い

まず知っておきたい知識として、傷病手当金と労災の違いです。

傷病手当金は、原則として業務外の病気やけがで休んだときに支給されます。たとえば、家庭の悩みなどが原因でメンタル不調になり、医師から休養が必要と判断された場合は、条件を満たせば対象になる可能性があります。

一方で、長時間労働やパワハラなど、仕事が原因で労災の対象になる場合は、傷病手当金ではなく、労災保険での対応が基本です。

メンタル不調でも傷病手当金はもらえる?

結論からいうと、メンタル不調が理由で会社を休んでも、条件を満たせば傷病手当金はもらえます。 傷病手当金は、業務外の病気やけがで療養中であり、療養のために労務不能で、連続する3日間の待期を含めて4日以上仕事を休み、休業中に給与の支払いがないことなどを満たしたときに支給されます。

メンタル不調の原因が、家庭、お金、夫婦関係、育児ストレスなど私生活に関することであっても、医師から休養が必要と判断され、実際に労務に就けない状態であれば、対象になる可能性があります。 また、うつ病、不安障害、適応障害などの精神疾患も、要件を満たせば対象になりえます。

反対に、メンタルの不調があっても、労務不能と認められなければ支給されないことがあります。 なお、労務不能かどうかは、医師の意見だけで決まるわけではありません。協会けんぽは、医師の意見に加え、本人の仕事内容やその他の事情も考慮して判断すると案内しています。

傷病手当金の申請は、傷病手当金支給申請書に、医師や事業主(会社)の証明を受けて提出します。メンタル不調で休んでいて、医師から休養が必要と判断されている場合は、申請できる可能性があります。

傷病手当金を受け取るには、いくつかの条件があります。主な条件は次のとおりです。

  • 原則として、業務外の病気やけがで休んでいること
  • 療養のために仕事ができないこと
  • 連続3日を含めて4日以上仕事を休んでいること
  • 休んでいる間に給与の支払いがないこと

では、それぞれの条件をもう少し詳しく見ていきます。

メンタル不調で傷病手当金をもらうための4つの条件

メンタル不調で傷病手当金をもらうには、基本的に次の4つをすべて満たす必要があります。

原則として、業務外の病気やけがで療養していること

傷病手当金は、原則として業務外の病気やけがで休んでいる場合に支給されます。今回のテーマでいえば、家庭や夫婦関係、お金、育児など、私生活上の悩みがきっかけでメンタル不調になり、医師から休養が必要と判断された場合です。

長時間労働やパワハラなど、仕事が原因でメンタル不調になり、労災の対象になる場合は、傷病手当金ではなく労災保険で考えることになります。

療養のために仕事ができないこと

傷病手当金を受け取るには、療養のために仕事ができない状態であることが必要です。
単に体調が悪いというだけではなく、医師から休養が必要と判断され、実際に仕事に就けない状態であることがポイントです。

たとえば、メンタル不調によって出勤ができない、仕事を続けられない、今までどおり働くことが難しいといった状態です。こうした場合は、傷病手当金の対象になる可能性があります。

連続3日を含めて4日以上休んでいること

傷病手当金は、休んだその日からすぐ出るわけではありません。
まず、連続して3日間休む必要があります。これを「待期」といいます。
そして、4日目から支給の対象になります。

この3日には、有給休暇、土日・祝日などの公休日も含めることができます。

たとえば、

  • 月曜 休み
  • 火曜 休み
  • 水曜 休み
  • 木曜 休み

なら、月曜から水曜までが待期、木曜から支給対象です。

ただし、3日続けて休まないとダメです。
2日休んで、3日目に出勤すると、待期はやり直しになります。

つまり、有給を使った日も待期の3日に入りますが、その3日間そのものには傷病手当金は出ません。 傷病手当金が出るのは、待期が完成したあとの4日目以降です。

有給を使った日も、待期の3日に入る。
協会けんぽは、待期には有給休暇、土日祝などの公休日も含まれると案内しています。

休んでいる間に、十分な給料が出ていないこと

傷病手当金は、休んでいる間の生活を支えるための制度です。そのため、休業中に会社から給与が支払われている間は、原則として傷病手当金は支給されません。 ただし、給与が支払われていても、その額が傷病手当金より少ない場合は、差額が支給されます。

つまり、

  • 給与が出ていない → 傷病手当金が支給される
  • 給与が一部だけ出ている → 差額が支給される
  • 給与が傷病手当金より多い → 支給されない

というイメージです。

傷病手当金はいくらもらえる?

傷病手当金は、1日あたり、休む前の給料のおよそ3分の2が目安です。
正確には、支給開始日以前の継続した12か月間の標準報酬月額の平均額 ÷ 30日 × 3分の2で計算します。

少しむずかしく見えますが、「だいたい給料の3分の2くらい」といった感じで十分です。

たとえば、平均の標準報酬月額が17万円なら、

17万円 ÷ 30日 ≒ 5,670円
5,670円 × 3分の2 = 3,780円

この場合、1日あたり約3,780円になります。協会けんぽの資料にも、この計算例があります。さらに厳密にいうと、標準報酬月額を30日で割るときは10円未満四捨五入、そこに3分の2をかけたあとは1円未満四捨五入です。

毎月自動でもらえるの?

傷病手当金は、毎月自動でもらえるわけではありません。

一般的には、1か月ごとに申請し、その都度支給されます。 協会けんぽでも、事業主の証明が必要になるため、1か月単位で、給与の締切日ごとに申請することが勧められています。

たとえば、

  • 1か月目に休んだ分を申請する
  • その分が支給される
  • 2か月目も休んでいるなら、2か月目の分をもう一度申請する

という流れです。

理由は、毎月ごとに次の3つのことを確認する必要があるからです。

  1. その期間に本当に休んでいたか
  2. 給与がいくら支払われたか
  3. 医師がその期間をどう証明するか

協会けんぽの申請書も、被保険者記入欄、事業主証明欄、療養担当者(医師等)記入欄に分かれています。

つまり、一度申請したら、その後は何もしなくても毎月振り込まれる仕組みではありません。休んだ期間ごとに、申請書を出していく流れになります。

申請してから傷病手当金が振り込まれるまでの期間

傷病手当金は、申請してすぐ振り込まれるわけではありません。

目安としては、申請書が健康保険に届いてから2週間前後です。ただし、書類の不備や確認事項があると、もっと時間がかかることもあります。

いつまでもらえる?

傷病手当金は、ずっともらえるわけではありません。
同じ病気やけがについて、支給開始日から通算して1年6か月までです。これは、厚労省と協会けんぽが案内しているルールです。

ここで大事なのは、「通算」という点です。
今は、途中で少し復職したり、いったん支給されない期間があったりしても、その分を含めて支給開始日から1年6か月で終わるという単純な仕組みではありません。支給期間の途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合は、繰り越して支給できると厚労省は案内しています。

たとえば、

  • しばらく休んで傷病手当金を受け取る
  • その後、少し復職する
  • また同じ不調で休む

という場合でも、条件を満たせば、実際に支給された期間を通算して1年6か月まで受けられる可能性があります。協会けんぽの資料でも、支給開始日から支給期間(実際に支給された期間)を通算して1年6か月と説明されています。

1年6か月ずっと連続で休まないといけないわけではありません。途中で復職するなど、傷病手当金が支給されない期間があっても、その分を繰り越して、同じ病気やけがについて通算1年6か月まで受けられます。

申請の流れ

申請するときは、傷病手当金支給申請書を使います。
この申請書には、事業主の証明と医師などの証明が必要です。協会けんぽの申請書でも、事業主記入用と療養担当者(医師等)記入用が用意されています。

流れとしては、だいたいこんな感じです。

  1. 病院を受診する
  2. 医師に、仕事を休む必要がある状態かを確認してもらう
  3. 会社に休職や欠勤の相談をする
  4. 申請書を用意する
  5. 自分で書くところを書く
  6. 会社に書いてもらう
  7. 医師に書いてもらう
  8. 加入している健康保険に提出する

ここで大事なのは、つらいという気持ちだけで申請できるわけではない、という点です。傷病手当金を申請するときは、申請書に医師の証明を受けて提出する必要があります。また、申請書には、会社が勤務状況や賃金の支払い状況などを証明する欄もあります。

なお、傷病手当金の申請では、一般的な診断書が必須というわけではありません。その代わり、申請書にある療養担当者(医師等)の記入欄に、主治医の証明を受ける必要があります。

会社に提出する診断書が別に必要になることはありますが、それは休職手続きのためのものであり、傷病手当金の申請とは別です。

まとめ

メンタル不調で会社を休んだ場合でも、条件を満たせば傷病手当金をもらえる可能性があります。

ポイントをもう一度まとめると、次のとおりです。

  • メンタル不調でも対象になることはある
  • 大事なのは、療養のために仕事ができない状態かどうか
  • 連続3日休み、4日目から支給対象になる
  • 休んでいる間に給与が出ていない、または傷病手当金より少ないことも条件
  • 支給期間は、同じ病気やけがについて通算1年6か月まで

メンタル不調で会社を休むと、仕事のことだけでなく、お金のことも不安になりやすいと思います。そんなときに知っておきたいのが、傷病手当金という制度です。

ただし、休んだだけで自動的に支給されるわけではなく、申請には医師の証明や会社の証明が必要になります。今は、そうした手続きを考えること自体が負担に感じるかもしれません。

それでも、条件を満たしていれば利用できる制度です。会社に相談することや、書類をそろえること自体がつらい場合もあると思います。そんなときは、まず主治医に相談し、無理のない範囲で進めていきましょう。必要であれば、家族など身近な人に助けてもらうのも一つの方法です。

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